久保内科病院 広報誌


Vol.7
2006年春号

発行/医療法人是心会 久保内科病院 佐世保市田原町11−9(広報委員会)TEL 0956-49-3377

キンペイさん                       院長 久保 次郎

 逝ってしまいました。キンペイさんと呼ばれ友人からかわいがられてきた父 久保謹平が平成18年1月20日午前5時5分永眠いたしました。1月24日の満78歳の誕生日を目前にしてのお別れでした。私が小学校の時は、給食袋に保護者の名前が書いてあり、同級生たちは、からかって一時期私のことをキンペイさんと呼んでいましたが、ジロウと濁音でよばれるより乾いたキンペイさんの方が気に入っていました。
 父は昭和2年造り酒屋の長男で一人息子として生まれ、姉4人妹1人に囲まれて育ちました。父が医学生の頃には造り酒屋も廃業して、普通の酒屋さんをしていました。昭和32年30歳のときに開業医となりましたが、古い家の酒屋から通っていました。昭和54年祖父が亡くなるまで酒屋は母がやっていました。父は、ひとり息子の跡取りとして久保家一族を仕切り、世話をするような立場でずいぶん苦労したようです。毎日昼飯は4時頃になり、7時頃まで仕事をしてから、毎夜、町に出ていろんな人達とお付き合いしていたようです。医師会関係、政治関係など多岐にわたり盃を酌み交わし、よく夜遅く家に連れ帰ってきてまた呑んでいました。討論もよくして、子供ながらに大人たちはよく話すことがあるなと思っていました。それでなくとも、酔って12時頃帰ってきても、3日に、たぬき1本くらいは空けていましたから、酒は強かったと思います。また生涯を通して肝機能はほとんど正常範囲で、私たち息子2人の肝機能異常をみては嘆いて「お前たちは呑みかたの悪か」といつも説教です。しかし、その分膵臓はダメージを受けているようで、CT上もへちまのタワシみたいにスカスカでした。呑み始めはビールを少し、あとはウイスキーを最後までというパターンです。毎晩いないので、晩酌というのは家ではやらないというか外で毎晩呑み、日曜日に月に一回ほど私たちを、寿司屋に連れて行くくらいで、子供の頃はほとんど顔を合わせませんでした。酒は、浮きも沈みもなく、淡々と黙々と呑むという印象で酒癖は良いほうでした。ワインもしばらくはよく呑んでいたみたいですが、「むずかしか」といって呑まなくなりました。きっとワイン通のひとの講釈を聞くのが苦手だったからだと思います。舌で呑むのではなく、腹で呑むというのでしょうか、食べ物もグルメというよりグルマンがちかいようで講釈や理屈は嫌いで、グズグズ言わず何でも食べて呑むという雰囲気です。酒癖の悪い人と一緒に呑むのは嫌いなようでしたが(好きな人はいませんけど)、ひとに呑ませるのは好きでした。誰でも年とってくるとそうなるのでしょうが、人との付き合いが好きなのか嫌いなのかよく分からないところもありました。しかし負けるのが嫌いな性格は確かなようで、碁も昔は少しはやっていたようでしたが、しなくなりました。当然、負けを認めないとできないようなギャンブルはやりませんでした。ゴルフは、私が小学生低学年の頃始めようと、裏庭にネットを張って練習を始めたのですが、小さい子供がすぐボールにあてるのに、自分が当たらないものだから腹を立てやめたので、始めるのが少し遅れたとこぼしていました。私が浪人の時はよく一緒に連れて行ってくれました。ゴルフを始めたのが遅れたためか、鮎つりにはまって、遠くまでよくいってました。生涯での趣味は結局、鮎つりが一番合っていて、上手で、好きだったようです。宮崎でもどこでも、よく川の地形を覚えていました。記憶力がとても優れていて、行った事のある場所や、会った人や出来事をよく話してくれましたが、それは驚く程の正確さで山や土地の境界もしかりです。また山に植林するのも、今生きている人間の使命のようなものだと言って、よくやってくれました。山の藪だらけの中を歩くのも速く動けて、成長する木々を見て回るのも大好きで、よく付いていきましたが、私が20歳代の時でもその素早さにはかないませんでした。立派になった木を切って、親戚の新築する家につかってもらうのが嬉しかったようです。足が弱り、痛みがでてきて、大好きな鮎釣りも山もいけなくなり、2年前頃から仕事も引退していましたら、変な咳をするのでレントゲンを撮ってくれといってきまして、肺がんが見つかり、平成16年5月に切除術をうけ完治し、今度は右下腹部がおかしいといって検査しましたら大腸がんが見つかり平成16年10月に切除術をうけ、その後肝臓に転移しているのが見つかり化学療法もし、平成17年4月にはリザーバーも植え込み治療しました。精一杯戦いましたが、平成17年の夏ごろからは治療は止めて淡々と静かに身を任せるがごとく暮らしていました。元々人間は動物であり、食べられぬようになったらおしまい、という考えでありましたので、最後食事が入らなくなってきても、点滴はするなと拒否しました。息をひきとる40分前ごろは脈も触れなくなっていたのですが、孫達をみて「うれしかー」と言ってにっこり笑って意識をなくしました。大往生だったと思います。何事にも真剣に取り組み、酒と川と山を愛した一生でした。さりげなく、ひたむきな生き様、いさぎよい死に様をみせてくれたキンペイさん、ありがとう、そしてさようなら。
胃・十二指腸潰瘍の原因と治療

医師 井上 直樹

 胃や十二指腸の粘膜では攻撃因子と防御因子のてんびんのようなバランス関係があり、攻撃因子が強くなったり、防御因子が弱くなったりして二つの力のバランスが崩れると、胃や腸の粘膜が傷害されて潰瘍になるといわれています。
攻撃因子

  • ピーナッツなどの固いもの、強い酒など、口から入って粘膜を傷つけるもの
  • 強い酸、たんぱく質を分解する酵素など、胃が分泌するもの
  • ステロイドホルモンや鎮痛剤など、胃粘膜を刺激する薬
  • ピロリ菌、ストレス、潰瘍性格(几帳面、凝り性) など
防御因子
  • 粘膜、粘液など、胃や腸の壁を保護するもの
  • 十二指腸に分泌されるアルカリ性の消化液(胃から出てきた食物を中和する)
  • プロスタグランジン(胃の血管を広げて血液の流れをよくする) など
 これらの因子を踏まえて、治療方針としては(1)心身の安静・(2)食生活の改善・(3)薬があげられます。
  1. 心身の安静:社会的・心理的ストレスから自分を開放して、休養を取ることが必要です。必ずしも寝ている必要はありません。適度の運動はストレスを発散してくれます。また、社会的ストレスから逃れる簡単な方法は「入院」です。仕事から解放され、医師が近くにいるという安心感が得られること、また食生活も大きく改善されます。またタバコは明らかに吸わない方が良いでしょう。タバコによって胃や十二指腸の粘膜の血管が収縮し、血液の流れが悪くなるため粘膜が弱くなります。
  2. 食生活の改善:かつては厳しい制限食(おかゆや牛乳など)が主流でしたが、現在は潰瘍が深かったり、出血などの症状があるとき時期を除けば、そのような厳しい制限をすることはありません。傷ついた胃や腸を補強するには栄養をしっかりと摂らなければならない、という考え方があるからです。現在の食事療法は、攻撃因子を抑えて胃腸壁を守る制限食療法と、栄養をつけて防御力を強化する積極的食事法のドッキングしたものになっています。胃壁に刺激を与えるようなもの(ナッツ類など固いもの、味付けの濃いもの、極端に熱い・冷たいものなど)、粘膜をあらすもの(香辛料、コーヒー、アルコール、炭酸飲料など)、消化の悪いもの(タケノコ、ゴボウ、イカ、タコ、生野菜など)は控えたほうが良いでしょう。食事の内容だけでなく、食事を毎日規則正しくとることも重要です。空腹の時間を長引かせると胃液が直接胃や腸に作用するので潰瘍を悪化させてしまいます。また一度に食べ過ぎると胃に負担がかかるため、6〜8分目としてかわりに間食を摂るようにしましょう。
  3. 薬:胃酸を抑制する薬や粘膜保護剤、プロスタグランジン製剤など多種多様ですが、大事なことは医師の指示通りに服用すること、治癒(瘢痕化といいます)するまで治療を続けることが大切だとされています。

私の趣味

臨床検査室 福地 幹子

 私が、花とかかわる様になったのは、十数年くらい前からでしょうか。爛蹈戰螢↓爐箸いΕ屮襦爾両花の苗を頂いてからだと思います。その後、植木市でハーブガーデンと出会い、自然な雰囲気の庭に憧れました。それからは趣味の園芸、その他の雑誌を見ては、休みの日にホームセンターを梯子し、いろんな花苗を求めたものです。数年前には、人にも見て欲しくまた自分でも満足できる庭を完成させたこともあります。ハーブ類は放っておくと藪と化してしまうこと、いい花を咲かせるにはやはり支柱などが必要なことも学びました。子育てにも通じるところがあるかなと思ったりします。
 そのころ、撮影旅行と称して、年に一〜二度出かけていました。その折、マクロレンズを通して見た花の美しさに感動し、瞬間の美しさを留めたいと牴岫爐亮命燭剖鼎辰燭海箸發△蠅泙后それから、庭に咲いた花をそのまま残したいと牴,群岫爐剖縮を持つようにもなりました。
 ところが、時間的には余裕が出てきたにもかかわらず、庭のほうは手入れが行き届かず荒れだしてきてしまいました。今後は少しずつ種類を減らしていこうかなと思いつつ、押し花を続ければいろんな種類の花が必要だしと考えているところです。
 こんな風で、花とのかかわりが、私の趣味にも人との付き合いにも広がりを持たせてくれました。これからもできるだけ続けていきたいと思います。


栄養管理室より患者様へ

主任栄養士(管理栄養士)佐野  美香
管理栄養士       塚本 ゆみ子

 こんにちは、栄養管理室です。皆様の入院中のお食事と栄養指導を担当しております。スタッフは、主任栄養士1名(管理栄養士)、管理栄養士1名、調理師5名、調理員4名の計11名で、明るく個性あふれるメンバーです。安全で、おいしい食事をお届けできますように、心がけております。よろしくお願いいたします。
 入院中の患者様のお食事は、一般食として、常食、軟菜食、7・5・3分粥食、流動食、濃厚流動食、特別食として、糖尿病食、減塩食、減脂肪食、潰瘍食(低残渣食)、高蛋白食、低蛋白食、貧血食、検査食などを作っております。その他、患者様の状態に合わせて、きざみ食・ブレンダー食などの形態に対応しております。
 栄養指導は、個別に、月・水・金の10:00または15:00に予約を受け付けております。
(予約は主治医または看護師まで、御相談ください。)

一期一会

医療サービス向上委員会 神園 まゆみ

 少し前のことになりますが、昨年11月16日に前外来師長の立石宗見先生をお迎えして接遇研修を行いました。「お茶を通して和の心に触れ、おもてなしのこころについて学んでみませんか?」というテーマで全職員を対象に実施し、職員49名と患者様、ご家族など多数の参加がありました。立石先生のお話を伺いながら、和の心・おもてなしの心について学ぶことができました。今後は患者様との対応に「一期一会」の心を反映していきたいと思います。

編集後記

 暖かい気候の日が多くなり、春の訪れを感じられるようになりました。季節を問わず、いろいろな野菜や果物が、手に入る時代ですが、時には、春の食材で、食卓をにぎわせるのも、楽しいものです。
 医療制度構造改革の行方も気になるところですが、故名誉院長 久保謹平先生の思いを引き継ぎ、少しでも、地域の皆様のお役に立ちたいと思っております。広報誌に対するご感想・ご意見もお寄せください。

(塚本 ゆみ子)

編集長  坂口(副院長)
編集委員 笹山(事務)、福井・藤山・前田幸・井元(看護部)、岩佐(検査部)、鳥原(薬剤部)、橋口(放射線部)、塚本(栄養管理室)

平成18年6月22日作成