久保内科病院 広報誌


Vol.6
2005年冬号

発行/医療法人是心会 久保内科病院 佐世保市田原町11−9(広報委員会)TEL 0956-49-3377

生きがいをもって生きるために       医師・介護支援専門員 久保 貞子

 日本人の平均余命は明治から昭和初期まで50歳以下でした。1945〜55年は結核が蔓延し、人生50年の時代でした。その後抗結核剤が開発され結核の死亡数は激減し、1950年代後半には、脳卒中・心疾患・癌が死因の上位を占めるようになりました。癌治療の研究、高血圧、高脂血症の治療薬の開発がすすみ、なかでも降圧剤(高血圧治療薬)の開発はめざましいものがあり、1970年代からは脳卒中による死亡は減少を続けています。このようにして日本人の平均余命は世界一となりました。そこでこんどは、どのように生きるか、どんな人生をおくるかという課題がでてきました。東北大学名誉教授の後藤由夫先生は次のように述べています。
生きがいは、生きていることに喜びや充実や満足を感じさせ、生きていることの張りあいになるものであり下記のように分けられる。
  1. 本能の充足(生殖・出産・保育・食べる・動く・休む・排泄するなど)
  2. 人間愛の充足(家族愛など)
  3. 遊びの充足(芸術・競技など)
  4. 精神活動の充足(仕事・奉仕など)
  5. 大自然に抱かれること(四季のうつろいを目で、生命の営みを見て楽しみ、地上に多様な仲間がいることに安らぎを感じる)
  6. 生きている事の喜び(肉親もなく「ただ生きているだけ」のようにみえる状態であろうと、ひとのDNAは存続し発展しつづける特質を考えれば、生きること、生きていることに、無条件に絶対的な価値がある)
 人間は生きている喜びを実感することに意義があると考える。命よりも人生のほうが重く価値があるのである。生きがいは、健康や病気、障害に左右されることのない心の充実感である。健康であることは人間の目的や目標ではなく手段である(出典:人間ドック学会誌)。
そこで、生きがいをもって生きるための手段として、健康を願い、病気の回復を願い、また看護や介護を必要としている時、私どもの病院ができることを考えてみました。
  1. 病気の速やかな診断、適切な治療、医療相談
  2. 療養のための知識を持ち、優しく慈愛に満ちた看護
  3. 健康管理や病気の早期発見治療のための、健康診断・人間ドック
  4. 必要な介護の提供・紹介、介護予防
等になるかと思います。
 病気の診断・治療・相談そして看護は、当病院としては最も重要な仕事で、日々の診療において全職員が一丸となり、より良い医療の提供ができるよう、研修を続けております。志をもってこの職業に就いたときの気持ちを忘れず、日々を過ごしたいと思っています。
 健康診断、人間ドックでは、久保内科人間ドック・国保人間ドック・企業ドック・佐世保市がん検診・佐世保市基本健診・生活習慣病健診・個人一般健診・企業一般健診等、種々の健診、ドックを行っております。
 介護に関しては、訪問看護(お家に伺い看護をします)と居宅介護支援(ケアマネージャとして介護サービスの利用のお手伝い)をいたしております。
 ここで少々、介護保険の利用のしかたについてお話いたします。介護保険のサービスを利用するには、まず介護認定を受けることが必要です。介護保険証を持って御来院ください。主治医が、診察のうえ主治医意見書を作成します。その主治医意見書と介護保険証、介護認定申請書を市役所に提出しますと、数週間後に介護認定調査員がお宅を訪問し、病気やからだの状態についてさまざまな質問をします。その後介護認定審査会を経て決定された介護度を記載した新しい介護保険証がご自宅に郵送されてきます。そこに記載されている介護度に応じて介護サービスをうけることができます。実際に介護サービスをうけるには、ケアマネージャに困っている事や希望を伝え、介護計画の作成、サービスを行っている事業所(自分の利用したい事業所を利用できます)の紹介、利用日程の調整、給付管理等を依頼し、サービスが始まります。
 当院には、デイサービス等の通所サービスや入所施設はありませんが、当院かかりつけの皆様が介護保険の利用に際し不安がないように、随時相談に応じております。どうぞお気軽に声をかけてください。
大腸がんに対する新しい抗がん剤について

医師 坂口 洋司

 今年3月に大腸がんに使われるオキサリプラチン(商品名エルプラット)という新しい抗がん剤が承認されました。白金製剤として知られる抗がん剤のグループに属していて、がん細胞の遺伝子(DNA)と結合してその合成を阻害し、がん細胞の増殖を抑えたり、死滅する働きがある薬剤です。もともと日本でうまれましたが、途中で開発が中断したこともあって、フランスに9年、米国にも2年半遅れてようやく承認され、人気を集めています。
 我が国では切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんへの効能・効果が保険適応となっております。その使用法はFOLFOX4法という投与法でレボホリナート(l-LV)、フルオウラシル(5-Fu)の併用療法で行うように決められております。
 私が医者になった30年前における進行結腸・直腸がんに対す中心となる抗がん剤は5-Fuでした。数年前から5-Fuの抗がん作用を強化するl-LVと5-Fuの併用療法が始まり、これまでとはずいぶん効き目がよくなってきたなという印象でした。その後、5-Fu治療抵抗性の患者さんに対して有用性が証明されているイリノテカン(CPT-11)が登場し、同時期にオキサリプラチンが登場し、欧米での現在の標準化学療法はFOLFOX(オキサリプラチン+l-LV/5-Fu)またはFOLFIRI(CPT-11+l-LV/5-Fu)となり、生存期間中央値も10年前の12ヶ月から20ヶ月を超えるようになってきています。今回やっと我が国でもオキサリプラチンが承認され、再発大腸がん治療の幅が広がりました。しかし、抗がん剤による治療は限界があり、抗がん剤によりがん細胞をすべて死滅させることはほとんどの進行・再発大腸がんの場合困難で、がんが増大するのを抑えて生存期間の延長をめざすこととなります。1種類の薬剤ではやがて薬に耐性を持ったがん細胞が残り、だんだん効かなくなります。そこで別の薬剤を使うことが必要になります。5-Fu、CPT-11、オキサリプラチンを上手に使いまわして高いQOLでの延命を目指したいと思っております。また今後は、分子標的治療薬のcentuximabやbevacizumabなど世界で使用されているものが我が国でも承認されると、さらに生存期間の向上が期待されます。


院内研修 防災対策研修会

防火防犯管理委員会 森 哲二、教育委員会 塚本 ゆみ子

 11月16日(水)「防火に対する心構え」をテーマに佐世保消防署 橋本様、大村様をお迎えして研修会が行われ、35名(久保内科職員33名、ケンセイ社1名、長崎基準寝具1名)の参加がありました。講話の後、「いのちを守る病院火災の初期対応」の映写があり、普段から防災意識を高めておくことの大切さや、早期発見、早期対応で役割を明確にすること、夜間、職員の少ないときの対応他の内容で行われました。


3病棟より患者様へ

3病棟主任看護師 堀野 弘美

 3病棟は平成15年7月に新設され、医療保険適用による療養病棟となっています。病床数は23床、スタッフは看護師6名・看護補助者7名です。
 療養病棟では、常時、医療、看護、処置または観察が必要な慢性期の入院患者様に対し、医療だけでなく、介護を含めた総合的ケアを提供し、また、入院患者様やその家族に対して退院後の在宅生活における観察、処置などの生活指導を行っています。
 当病棟の特徴としては、一般病棟より看護補助者が多く、療養生活にリズムを持たせ、早期離床を進めるため、食事時の食堂の利用をして頂いています。そして、日課にはレクリエーションが組み込まれています。レクリエーションの内容としては、季節の行事のほかに、折り紙、ちぎり絵、ゲーム、お茶、生け花など様々です。レクリエーション活動中の患者様は表情豊かで生き生きとされ、楽しみに参加されています。
 今後もスタッフ一同、患者様のことを考え、相談しながらお手伝いさせていただきたいと思っております。

療養病棟敬老会

療養病棟看護補助者 中尾 照子

9月17日療養病棟において、敬老会を開催しました。今回、初めての試みでしたが、患者様に喜んでいただけるようにと、スタッフ全員でプログラムを企画しました。
病棟スタッフによる歌や舞踊は、皆緊張しながらも一生懸命に心をこめて発表し、また、患者様は手拍子に合わせて、楽しそうに歌を披露されました。最後に、参加された患者様・ご家族の方へ茶を点てて、召し上がっていただきました。一時間という短い時間でしたが、「楽しかったよ。」、「良かったよ。」という感想と大拍手をいただき、スタッフ一同とても感激しました。
ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。

編集後記

師走、寒梅の頃となりました。「こころ」6号2005年冬号をお届けします。より多くの方に「こころ」を読んで頂ければ幸いです。人生も、より長い時間になりました。いろいろな楽しみや生きがいを見つけ、感動に触れ、より充実した時間を過ごせる事が出来たらと考えます。
冬の到来は春近し、でもあります。新たに迎える年がより素晴らしい一年となります様、お祈りしております。

(鳥原 晴美)

編集長  坂口(副院長)
編集委員 笹山(事務)、福井・藤山・前田幸・井元(看護部)、岩佐(検査部)、鳥原(薬剤部)、橋口(放射線部)、塚本(栄養管理室)

平成18年6月22日作成